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[コメント] ミスト(2007/米)

全ての人間が持つ表現の自由・選択の自由。そして個体差。神なのかどうかは分からないが、きっと異次元の何者かが、ちょうど人間が檻の中のモルモットを観察するように、スーパーに閉じ込めた人間の本性を暴こうとしているようだった。その異次元人はヤプールではなく(古っ)、監督そのものだったとしたら、あのラストはちょっと傲慢だ。
クワドラAS

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
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本作のような予期せぬ事態が突如訪れる終末的映画は大好きで、エイリアン及びバグじみたモンスター達の暴れっぷりもまずまず。そして閉鎖空間における緊迫した心理ドラマも相当出来がいいと思う。

ただ、ラストの、あの父親の絶望感はちょっと予想できなかった。4人を撃ち(ある意味息子との約束は守った)、残ったあの父親も怪物にやられ、世界は人っ子一人いなくなってしまった、やはり人間に天罰が下ったのか、というような悪夢的な雰囲気で終わるならまだしも、いきなり残った父親を現実世界に引き戻してしまう容赦のなさ。たしかにアンチハリウッド的で、インパクトはあった(ぐええっ…て感じでしたよ)。でも、作品全体を覆う絶望的状況が凄ければ凄いほど、ラストにおける微かでもいいから感じられる開放感や希望、でもそこにはまだ不安もぬぐいきれない・・・そういう結末がベストだと感じる俺にとっては、「ちと人間いじめすぎじゃねえか?監督さん」というのが素直な感想。

まあでもそれらを含めた色んな意味での作品の密度は高く、並みのホラー映画には描かれない人間のモイスチャーな心情をあぶり出したミストってことで4点。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)おーい粗茶[*]

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