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[コメント] ミスト(2007/米)

大阪弁で言う「やらしい」映画。
HILO

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







一般的なハリウッドファン的には典型的なバッドエンドだが、 キングファン的にはこれもキング流ハッピーエンドになるかもしれない。

Googleで検索するとパンフレットでの解説は上手く皮肉っているらしい。

デビッドが取る行動は一見ヒーロー像として観客を魅了するが、 クライマックスの悲劇で全てが自業自得と化する。

最初にモンスターと対決したシーンで、 デビットがいつも正しいという錯覚を観客に与える。

そこからクライマックスの悲劇に繋がる、 無数の伏線となるエピソードが展開される。

子供の反対を押し切り薬局に入り数名の仲間を失うが、 不可抗力として観客も納得する。

スーパーの脱出劇ではアマンダの反対を押し切り銃を入手、 その後入手した銃で集団自殺そして軍によりスーパーに客は全員救出。

つまりあと1秒でもタイミングが遅ければ、 誰も死なずに済んだという凄い皮肉。

つまりデビッドの行動はハリウッドではセオリーされる行動で、 それをスティーブン・キングは皮肉めいて表現している。

単なるアンチテーゼではなく、 ハリウッドファンも納得するしかないプロットを全体に用意して、 クライマックスの悲劇で完全勝利を得る。

映画に勝ち負けもないが、 やはりスティーブン・キングは上手いと思うしかない。

普通なら『ソウ SAW』に代表されるソリッドホラーみたいな悪趣味な映画はパスだが、 スティーブン・キングには全ての観客を納得させる何かがある。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)山ちゃん けにろん[*]

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