[コメント] ウルトラマン(1979/日)
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男の子は総じて怪獣が好きである。私もその例に漏れず、怪獣が大好きだった。それもウルトラマンに出てくる怪獣だった(ウルトラマンはもう再放送だったと思われるが)。ウルトラセブンにはカプセル怪獣という子分的な存在があったため、ウルトラマンのような孤高性が感じられず、ほとんど観ていない。セブン以降はもう怪獣に憧れる年齢ではなかった。つまり私のなかでは怪獣はウルトラマンで止まっている、言い換えればウルトラマンの怪獣が常に最新なのである。
ウルトラマンに出てくる怪獣についてはいろいろ覚えた。名前はもちろん、身長、体重などのデータの他、枕詞のようなものが付く怪獣の正式名称(例えばバルタン星人ならば「宇宙忍者バルタン星人」、ゼットンなら「宇宙恐竜ゼットン」など)も全てソラで言えた。
次に私の興味は、どの怪獣が強いのか、という方向に向いた。その物差しになるのがウルトラマンとの闘いぶりだ。あの怪獣と闘ったときはカラータイマーが点滅しなかった、この怪獣にはスペシウム光線が効かなかったなど、そんなことから勝手に推測を始める。やはり子供には、ウルトラマンと怪獣の対決シーンが物語の核になるのである。
実は私はレーザーディスクでウルトラマンを全巻集めた。総額10万円くらいはかかったと思う。さすがに最近は観ていないが、大人になっても楽しんでいた頃があった。しかし、子供の頃とは明らかに違う視点から観ていることに気がついた。怪獣が好きなことに変わりはないが、怪獣の強さなどよりその存在理由、怪獣が訴えていること、科特隊員の葛藤など、その回のテーマ(あるいはそれに付随すること)を中心に観るようになっていた。
ジャミラの怒り、その怒りに動揺するイデ隊員。シーボーズの悲しみ、その心を汲み取ってやろうとする科特隊。寝てばかりいてカッコイイ怪獣とは言い難いガバドン、ガバドンと闘うウルトラマンに「帰れ!」と叫ぶ子供たち。この映画で語られるのは、どれも素晴らしい物語だ。ウルトラマンは子供より、むしろ大人になってからのほうが楽しめる作品なのかもしれない。
TVシリーズの編集なので映画としての評価はぐっと低くなったが、ウルトラマンが私のなかで輝きを失うことは決してないだろう。
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