[コメント] ルナシー(2005/チェコ)
ヤン・シュヴァンクマイエル監督らしさは、健在ですが、より理解しやすい映画になっていたと思います。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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現実味の無いようなものを観ていたい願望ってあると思うんですけど、 その願望をこの映画はしっかりと体現してくれています。
今作で好きなシーンは、肉片が軽快な音楽に合わせて、ダンスをするところです。 肉片が踊り、ビールを飲み、食べ物を食べて、セックスをする。 とっても楽しげで、でも現実味はなくて、賑やかな夢のような映像でした。
この肉片が示しているものは、おそらく人の本性。 人間があらゆるものを削ぎ落としていって、 本当の自由というもの、の姿になるとすれば、 ただの肉片になるのだという事実を突きつけています。
この映画は、2つタイプの秩序が対照的に示されます。 本能の赴くままの自由が構築した社会秩序と、 監視下に置かれた秩序。 前者は、サドの快楽主義の印象が強く、後者は、現代社会の印象です。
心身を健全に長らえさせるために、私たちはどちらを取るべきなのでしょうか。 そういった意味でも考えさせられる作品です。
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