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[コメント] マパンツラ(1988/南アフリカ=豪=英)

アパルトヘイトなんて関係ないぜ! と面白おかしく自由に生きるチンピラも、「それ」からは逃れられない。そこで生きるということは、否応なしに決断を迫られることだった。
ペンクロフ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







この映画、高校生のときに地元の大学の学祭で観た。16ミリだった。南アフリカの人種隔離政策に特別興味があったわけではないが、この映画はストリートギャングの日常とドタバタを描いており、面白く観られた。アパルトヘイトは社会の背景としてあるものの、まずこの映画は気ままに生きる路上のチンピラたちを生き生きと見せてくれた。連中は例外なく若く、バカで、ボンクラだった。しかし、やはり南アフリカに生きる黒人はアパルトヘイトから自由ではいられない。ブン殴られて追い詰められて進退窮まった主人公が映画のラストで下す決断、言葉にすれば一言だが並大抵の覚悟では言えない言葉、それが感動的だったのは彼がオレと同じように若く、バカで、ボンクラだったからこそだ。路上から見あげたアパルトヘイトは、殴られた後に口の中にあふれる苦い血の味がした。ネルソン・マンデラが、まだブタ箱にいた頃のお話である。

(評価:★4)

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