[コメント] バブルへGO!! タイムマシンはドラム式(2007/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
先日新聞に大画面の映画館がなくなっているという記事があった。今東京で最大級なのが新宿ミラノだそうで、そのサイズも全盛期に比べればさびしいものである。
私が小学生の頃一人で見に行った映画館はとにかくスクリーンの大きい映画館。特にテアトル東京で見た『スターウォーズ』のや『2001年宇宙の旅』の迫力を忘れることができない。当時の客席は1000席を越えていたという。その中で大勢の観客とともにする同じ時間同じ画面その迫力を原体験とする私には、いささか寂しいお話である。
もちろんシネコンの発達が現況の映画業界を支えていることを理解はするが、映画という娯楽がスクリーンの縮小化に伴い、いよいよテレビに近づいていることを改めて認識する。
方やテレビの画面は巨大化が進む。ホームシアターという娯楽が進化することで、映画館よりも自由に時間を使うことができる。生活に密着した進化とも受け取れる。
この映画は正にホームムービー型の映画だろう。
テレビにしては企画も大きいので映画として製作されたものだと思われる。
バブル期の政治判断の誤りで、現在の格差が生まれた、というネタをもとに、タイムマシンで当時の大蔵省の「不動産総量規制通達」を止めようとするお話だ。
実は、もっと遡ると、このバブルを生み出したのは田中角栄の日本列島改造論だ。不動産の価値が高まれば、銀行の貸付残高も増加し、どんどん資産が膨らんでゆく、という考えは、田中内閣をさらに遡る池田勇人の所得倍増論にまで至るのだが、高度成長期には必要な処方箋だが、実のない資産が価値を失う可能性というのは常に経済学でも考慮されている。
従って、この総量規制だけがバブル崩壊の原因と言い切れない面もあるのだが、まぁドラマとして楽しむ分には損のない話かもしれない。
薬師丸ひろ子が老若同時に演じている点などに、やや無理を感じるが、お笑いムービーとしてはそこそこというところだろう。
タイムマシンものは、映画ネタとして長く用いられているが、少し身近で少し本当っぽいところがこの映画の魅力だろう。
しかし、それでも映画は大画面で鑑賞したい。大画面の迫力を共有する機会は非日常だからである。それにこそ映画の価値を見出すことができるのだ。
この映画は大画面向きではないが、ホームシアターで楽しむにはそこそこの映画である。
(2007/10/6)
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