[コメント] 不都合な真実(2006/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
映画の中で説明されているとおり、地球温暖化は世界規模で対策をしていかなければならない問題である。それが一部の政治家にとっての“不都合な真実”であることによって、対策が鈍っている。これは意見を言って然るべきだ。
だが、それは当たり前のことなのだ。
この映画の中でのアル・ゴアの主張において、もっとも頷けたのは、結論にあたる部分だった。彼は「経済と環境は両立できる」と自信を持って述べていたからだ。
これは、政権を獲得できない小さな党の人間では言えないこと。環境問題を理由に、経済政策を批判するだけなら簡単だが、資本主義で成り立っている世界のシステムを崩すわけにもいかないのだ。
アメリカで共和党と並び政権を取れる民主党の元大統領候補が、「経済と環境の両立」を率先して訴えることでの効果は非常に高いと思う。この映画を観たひとりひとりの意識で変わる部分もあるが、それを整える政策を立て、経済や外交、司法の面でもバランスを取っていくことは、政治家でないと出来ないのだから。
マジョリティー視点によるマイノリティの訴え、という視点で非常に共感を持てた。
少なくとも、京都議定書を批准していないアメリカに向けて作られたドキュメンタリーとして、非常に意義が高い作品だ。
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余談だが、この作品をDVDで観ると、映画製作後に出てきた新たな証拠や問題などを語るゴアのインタビューが収録されている。それにより気がつくことが2点あった。
ひとつは、地球温暖化を継続的な問題として訴えかけたい気持ちが伝わり、映像特典としての意味が他に比類を見ないほど高いこと。もうひとつは、その特典はただのインタビュー映像ゆえにやや単調なため、本編の構成力の高さを感じることだ。
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