[コメント] スミス都へ行く(1939/米)
フランク・キャプラの強引な演出も映画力を顕在せしめて許せるSO-SOドラマ
『素晴らしき哉、人生!』と同様の大団円の盛り上がりを構成する手法で、映画の底力を見せつけたキャプラ作品であるが、前述の作品にくらべるとモチーフの選び方、キャラクターの設定などにそのファンタジーは狭小の感が否めない作品である。ラストシークェンスでの逆転劇は後味の悪い幕の引き方で、完結としての満足度に疑問を残す結果となった。キャプラ作品に通低するこの愚直なまでに理想を追求するヒューマニズムの体現者となる主人公はやはり『素晴らしき哉、人生!』を前にしてしまうとたんなる習作という範疇を超えない。しかし創造の過程を作家論という文脈で語るとすれば大いに前進をみせた意義ある佳作といえよう。その意味ではキャプラは間違いなく作家性をもった職人監督であり、そのすべてのフィルムを検証した上でなければ彼の作品の真価を見極めることはできないであろう。再評価が求められるべき作品であり、作家である。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (0 人) | 投票はまだありません |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。