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[コメント] ファッティとキートンのおかしな肉屋(1917/米)

バスター・キートンの映画出演デビュー作らしいが、監督主演はロスコー・アーバックルだ。2部構成で前半は食品雑貨店、後半は女学校というか女子寮を舞台とする。
ゑぎ

 まずは、雑貨店のメインのスペースを映した後、店員を一人ずつ抜いて紹介する。総支配人(店主)とその娘アマンダ−アリス・レイク、営業主任のアル・セント・ジョン、犬のルーク、最後が肉コーナーのファッティ−アーバックル。キートンは客の一人として登場するが、後半まで出番のある目立つ役。あと同様に前半は客として、後半は女学校の先生で出てくるアグネス・ニールソンを加えて主要人物と云っていいだろう。

 前半の見どころはアーバックルの肉切り包丁と肉のさばき、犬のルークが、胡椒引き機を回転させるウォーキングマシンみたいなベルトに乗って走る演出、店内の周囲の壁を梯子で移動するセント・ジョンとか、上階で仕事をするアマンダ−レイクの高低を活かした見せ方とか視覚的な面白さが連続する。キートンは登場後、糖蜜の接着性でギャグシーンを作るが、ほどなく店全体で小麦粉(?)の投げ合いからパイ投げに発展し、カオス状態の中に紛れ込んでしまう。ただし、キートンとセント・ジョンのやり合いが目立つショットも多く、きちんと爪痕を残している。前半は、粉がもうもうと舞っている中、カウンターの上に座ったアーバックルとレイクがキスをしてアイリスアウト。

 後半、レイクが寄宿学校に入学し舞台を移すと、アーバックル続いてセント・ジョンが女装して彼女の後を追うという展開になる。なぜか何の問題もなく女子寮に入ってしまう女装の2人。キートンはセント・ジョンの女装を手伝う男として再登場。セント・ジョンはレイクを誘拐しようと企てるのだが、キートンが誘拐も手伝うという役柄だ。矢張りアーバックルの女装は可愛らしく、この倒錯性を強調するのはアーバックルで、セント・ジョンではない。コメディとしては、誘拐場面で女子学生たちを巻き込んだドタバタに発展して見せ場を作るが、こゝでのキートンの転け演技のキレは印象に残る。しかし、寮母のような先生−ニールソンが拳銃を撃ちまくるという演出が一番驚きがあった。彼女が電話をかけるショットに繋げて、電話を受ける警察官をワンカット挿入するカッティングも目 に留まる。編集でキャッチしたのはこゝぐらいか。全編切り返しは無し。

(評価:★3)

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