初期CG多用の大衆作の作りだが、「南北合同軍」に至る両軍の心理的葛藤が思いの外丁寧に積み上げられるのが本作の大いなる美点。南北とも兵士はアウトローの設定であり、村の自衛戦争に移行するなかで朝鮮戦争という代理戦争の空虚さが浮き彫りになる、という狙いの達成度は微妙かもしれないが、これが志向されたのは間違いなく、そのアツい思いは伝わってくる。

兵士を見送る村人の「去るのなら来なければいいのに」といういい科白があった。本作、『七人の侍』は当然踏襲されたのだろうけど、比べてもこのトンマッコル村は箆棒な理想郷で突き抜けている。アメリカにはこんなコミューンは赤化に見えるんじゃないの、という嫌味が込められている具合である。北の老兵を南の若年兵が兄貴と呼ぶ件もいい。ベタをこれだけ羅列して嫌味がないのは何でだろう。

北朝鮮への（一方的）片想いとアメリカ帝国主義への非難、という韓国リベラルのゆるぎないスタンスは本作でも踏襲されている。問題はこの説得力なのだが本作は無理がない。いったい、アメリカ軍はその後もアラブ諸国等で「誤爆」を何十回繰り返したのだろう。この記憶が刺戟されるものだから、映画はアメリカを一方的に悪役にしているという感想は全然出てこず、フィルムに無辜の被害者の無念が累積されているようで圧倒されるものがあった。なお、スティーヴ・タシュラーの米大尉に最後に別行動をさせるのは、米軍に村への攻撃停止を直言させるため（全然間に合わないが）。