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[コメント] 紙屋悦子の青春(2006/日)

演出がいささか舞台調になりすぎている面もあるが、役者陣の演技がとても良いので気にならない。
赤い戦車

木村威夫の美術や役者陣一つ一つの細かい所作など諸要素から、戦争を知っている世代にのみ、醸し出せる「当時」の空気。観客の集中力を高める効果的な長回し。小津のようにユーモラスな会話。晩年の黒木監督が到達した枯淡の境地といえる。全くもって素晴らしい。

しかし一方で現代パートの退屈さは容認できない。過去パートと比べ会話が面白くないうえ、2人ともメイクがアレで老人に見えないため過去から現代に飛ぶと一気に冷めてしまう。別に直線形に描いても不都合のない話だし、監督と役者の力量から考えてそちらの方が本作の強度が増したと思う。何も回想形式にする必要はなかった。そこだけが惜しい。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)chokobo[*]

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