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[コメント] 母を恋はずや(1934/日)

もう殆どのカットがローアングルなのだが、珍しく後退移動カットが2カットある。小津のトラベリングは後期でも決して珍しくないが、多くは人物の歩く姿を歩度に合わせて構図を変えずに追っていくものであり、この映画のような構図を変化させる後退移動は全く見られないものだ。
ゑぎ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 特にカフェでの大日方傳吉川満子のカットでは、後退しながら女給達がフレームインする。実にダイナミックなカメラワーク。

 最初と最後のそれぞれ一巻が欠落しているようで、字幕での注釈がつくのだが、本当はハッピーエンディングだったらしいラストについては欠落していることで却って宙ぶらりん感があって良いように思う。

 カフェに入り浸っている友人役で若き笠智衆が見られる。また、カフェの掃除婦役で飯田蝶子が登場。飯田蝶子が画面に現れるとなんとも不思議な安心感が出る。これまた若き三井弘次(この当時は秀男)が大日方傳の弟役。この映画でも弟が兄を激しく打つシーンがあり、小津はやっぱり「ビンタの映画作家」だと感得する。

(評価:★3)

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