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[コメント] 白痴(1951/日)

信じられない・・・コメント途中ですが書かずにおれませんでした。
草月

衝撃的でした。 フィルムが切れ切れとのこと、あまり期待せずに撮りだめた「NHK黒澤映画一挙連続放映」の一作品として観ました。 古い日本の時代の映画を見る時は、頭の中で「当時の習慣やそれによる人々の感情」を勝手に「こういうものだったのだ」と修正して観ていますが、黒澤の場合はそれが最小限ですみ、それどころか反対に臨場感と共感を得て理解できる場合もあるのですが、本作品は更に進んだ文学と映画の合体融合芸術を見せてもらった気がします。

スパルタのきつねさんのコメントにあります「「一切合財自分のことをさらけ出す人は、他の怒りを買うものだ。さほどに裸体は慎むべきものだ」を黒澤さん自身が地で行っているようでした。世間や評論家の目を一切排除し自分の血と肉の全てを曝け出そうとした芸術作品だと思いました。

正直に申し上げて森雅之さんがこれほどだとは知りませんでした。森さんがこれほど人間に対する思索が深いとは・・また三船敏郎も思いの外好演で、二人のラストの蝋燭のあかりと共に堕ち行く姿・表情は圧巻でした。。森さんは原節子さんを思いやるのと同様に三船も思いやるのです。三船の深い絶望と悔恨と共に身を寄せて正に「愛して」いました。。。

映画では「いい人だった」というセリフやお見舞いに行った少年の口を経て「あの顔は云々」だけで二人の顔は見せていませんが、最後どうなったのかもの凄く気になったのですが、最初の5時間フィルムではどうだったのでしょうか。二人の顔は無くて正解でしょうか。。

原節子さんも圧巻でした。素晴らしい造型でした。

監督さんご本人はメロドラマの先駆と位置付けておられるようですが、愛の本質にせまる非常に重たくて味わい深い、強い印象を残す映画でした。 本質をそらしたり、サッと軽い語り口で逃げたりするのではなく血の滴るステーキを味わった感触です。

さっと急いでみたので、改めて後日感想を書き直します。09.2.25

(評価:★4)

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