主演二人が濃すぎることで設定は結構面白いのだが、問題として本作は脚本が悪い。何よりホッパー演じるクレブスの性格が最後まで掴めないのがまずい。単なるサイコ野郎なのか、それともジーナの自堕落さを気にして、彼女を助けようとするのか、そのどっちなのか分からないまま話が進む。ホッパーは相変わらず怪演ぶりを見せるのだが、ことごとく空回り。

　それで真実は自分のトラウマを人に押しつけてるだけというオチには開いた口がふさがらないというか…

　個性派俳優を二人も連れてきておきながら、それをまるで活かせなかった脚本の拙さと、演出の月並みさが足を引っ張った。これまでB級アクションしかやってない監督に質の高さを求めること自体が無理だったと言われればそれまで。

　同じような設定で上手く仕上げた『ブラック・スネーク・モーン』(2006)と較べてみたら、本作のまずさがよく分かるだろう。