[コメント] 宇宙戦争(2005/米)
これはSFパニック映画ではなく文字どおり戦争映画なのだ。天災は一過性の恐怖であるが、殲滅を目的とする「敵」からの攻撃は全の命が死滅し文化の痕跡が消滅するまで永遠に続くのだ。終わりなき暴力にさらされた無防備な民は逃げることしか術をもたない。
そこでは、平和への信念や願いなどという観念は一瞬にして吹き飛び、家族や夫婦や男女の愛など後回しにされ、とりあえず現状を維持することが最優先される。それが、ひたすら逃げるという究極の物語であり、この映画の目指したテーマなのだ。
そして、この映画は著しく人の痛みに対する想像力に乏しいアメリカ市民と、攻めることと攻められることをくり返し、その行為に意外と鈍感なヨーロッパの人々と、人類史上例のない大量殺戮爆弾を2発もくらいながら、あきれるほど人の良い日本の我々に、改めてその理不尽な恐怖を知らしめる、あるいは想起させるためのS・スピルバーグによる今更ながら警告なのだ。
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