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[コメント] 水の中のナイフ(1962/ポーランド)

青年の幼児性・無知・率直さ・反抗的態度に対する、男の世慣れたスマートさ・残虐性・ライバル意識。これらの両面が女の母性をくすぐる。船上にいるのは3人だが、大人と子ども、女と男の意識下の戦いだ。
jollyjoker

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







船長の命令にテキパキと動く女はかいがいしく世話を焼く一方で、ワニに空気をいれさせるなど、男女の役割をはっきりと棲み分けている。そこへ現れた「幼児的存在」を守るのは女にとって必然だろう。左右の目を交互に閉じてマストを眺める青年の無邪気さ。迷いながらさまよっている頼りなさ。そんな青年へ自分の皿からスープを分け与える。濡れた髪を拭いてやる。

水面と風を受けるセイルの動きが画面を生き生きと映し、凪との対比が登場人物らの心の探り合いと緊張感を表し、水の音がそれを緩和していく。

モノクロの映像が女の水着を効果的にとらえ、暗い水面下であっけなくナイフが沈んでいく状況も良い。

青年が持ち合わせたナイフは、相手に対する壁なのか、最後にはそのナイフは不要となった。

(評価:★4)

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