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[コメント] 袋小路(1966/英)

レコードに傷を付けるようなガキには鉄拳制裁あるのみ!
マッツァ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







結婚十ヶ月・・・傍から見たらまだ新婚と言えなくもない。ところがこの夫婦、夫は工場を売って人里離れた孤島の城を全財産叩いて購入した優柔不断なハゲ、美貌の妻はまるで夫を軽蔑しているかのような態度をとり続けちょっといい男と見るや途端に色目を使い始める売女。夫は妻の不貞を気付いているようだが、問い詰めることすら出来ない。一方、この島に偶然やってきた男は、ある仕事に失敗し仲間も失ってボスに連絡をとるがまるで相手にされないようだ。

この三人はそれぞれ行き詰まりの状況にありながら、またそれぞれ孤独を抱えている。そんな三人が閉鎖的な空間に閉じ込められてしまうのだから、抱えた問題が表面化しない訳はない。ポランスキーお得意のパターン・・・って知らないけど、『水の中のナイフ』が素晴らしかったんで多分そうでしょう。徐々に露呈し始める人間の本性(というか異常性?)が、子供に傷つけられて音飛びするレコードをきっかけしているのが面白い。同じ所を何度もループするレコードは「行き詰まり」を暗示しているのか。まさに『袋小路』。そして、フランソワーズ・ドルレアックの永遠に失われてしまった美貌。燃え上がる鶏小屋を背にしてのドナルド・プレザンスの発狂。深刻にならざる得ない状況下で、不思議と笑えてしまうのは監督のコメディ(ブラックだけど)タッチの演出あってこそ。絶妙のバランス感覚。

(評価:★4)

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