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[コメント] バーバリー・コースト(1935/米)

漫然として型通りのギャングもの。19世紀中盤のサンフランシスコが無法地帯なのはよく判った。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
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ギャグ連発のウォルター・ブレナンが映る度にシリアス映画はコメディに変貌する。ホークスらしい大らかなタッチなのだが(『脱出』でもブレナンは同様の存在だった)、これがどうも私には馴染めない。ドラマツルギーの一貫性が犠牲にされているように感じてしまう。

ジャンル無視のカーニバル性こそはホークスの美点、というのは理解はできるし、物語批判でシークエンスの強度を重視した表彰批評がホークスを評価したのはこの点だというのも判るのだが。こういう「笑いあり涙あり」の本邦新喜劇にも通じるごった煮は、余程うまく纏めないと空中分解に見えてしまう。

で、本作はうまく纏まっているだろうか。ひとつ思うのは、これはギャングのエドワード・G・ロビンソンへの攻撃の一環なのだろう、ということだ。ミリアム・ホプキンスの不幸な女がおり、ジョエル・マックリーの告発の正義感があり、片目失った(ふりをしている)ブレナンの剽軽な皮肉があり、各々が自分の方法でロビンソンと対決しているのだ、というニュアンスは感じられる。

しかし、それらのパッションは強度不足だろう。ミリアム・ホプキンスが帰郷しない理由からしてよく判らずドラマにし損ねているし、他の人物の彫琢も自警団の集合に至る語りも、型通りを出ず本気度が不足していると思う。

(評価:★3)

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