[コメント] 愛の神、エロス(2004/米=伊=香港)
オムニバス全体通して“エロス”を探求しきれていない側面もある。もっと深く潜り込めたはずである。この中では、僕は性による解放感を描いたアントニオーニの一篇を好む。(2005.5.1.)
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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※「若き仕立て屋の恋」(ウォン・カーウァイ) ★3
原題にもあるように“手”をキーワードに、若き仕立て屋の報われぬ恋を描く。この三作品の中で唯一、女性の裸体を画面に登場させない一遍。その点で“手”の動きや、カーウァイ独特の耽美映像でエロスを表現しようと試みている。僕が常にカーウァイ作品をひいき目で見ないこともあるのだが、作家ならではの味わいを映像が発揮しているものの、官能性には欠ける作品に思えた。
※「ペンローズの悩み」(スティーブン・ソダーバーグ) ★2
潜在意識に潜むエロスというフロイト的な難しい主題を盛り込もうとしたが、それが大失態。精神分析のシークエンスは、中年男性ハルのかつらを最後に確認するまで引っ張るための余興に思えてしまう。お笑いコントのような作りではないか! ソダーバーグがこういった作品を今なお手がけるという姿勢は良いが、作品のレベルはこの三作の中で最下位だ。
※「危険な道筋」(ミケランジェロ・アントニオーニ) ★4
僕はこの中ではアントニオーニが最もエロスを追求できていたと思う。解放的な性を描き、神秘性を含む作品だった。倦怠した夫婦関係が新たな女性との性的関係を経て解き放たれ、その解放感がトスカーナの情景ともマッチしていた。ラストはアントニオーニらしい締めくくり。ビーチにて全裸で対面するふたりの女性、その構図には不思議な美しさが漂う。
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