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[コメント] 狼火は上海に揚る 春江遺恨(1944/日=中国)

稲垣監督はアクション映画には定評あるんですから、もう少し自由に映画作らせてやれば良かったのに…そう思えるのも現代だからでしょうね。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 サイレント時代のヒーローであった板東妻三郎は、映画がトーキーとなってえらい苦労したそうだ。立ち居振る舞いは映画向きだとしても、彼の声は男としては甲高く、そのまま声を当てると大変聞き取りづらい(『雨に唄えば』(1952)を地でやっていたわけだな)。それでも努力家の板東は声を抑える努力をし、前年に傑作『無法松の一生』(1943)の主演を果たした。

 しかし、本作は板東の地が出ていたようで、大変声が聞き取りづらくなっている。更に本作の場合、「言葉」を大変大切にしているのだろうけど、わざわざ通訳を通して中国語で会話をさせているため、聞き取りづらい台詞が延々と続く。はっきり言って、聴いてるこっちはたまったものではない。更に支配者であるイギリス人の映画は片言で、これ又聞きづらい。物語以前にそれでげんなりしてしまう。

 舞台を上海に、そして高杉晋作と太平天国の乱を題材にしたことは面白い設定にせよ、所詮はプロパガンダ映画。思った通りの展開が続くばかり。最後は英米の支配を打ち砕くため中国人との握手で終わる展開。

 私自身にこういった国策映画を評価したくないと言う先入観があるのかも知れないが、なんか妙な苛つきを抑えることが出来なかった。

(評価:★2)

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