[コメント] 理由(2004/日)
長く感じた・・・
大林宣彦の映画は、大変評価しにくい。映画を作るごとに評価が変わる。
もともと日本映画という仕組みの中から出てきた方ではなくて、自主制作の映画が評価されて、今でいうと大学のサークルからスタートした映画人なので、映画の本質というか、業界の型式から完全に逸脱している方なんだと思う。
従って、本人の意思によって生まれた作品は、驚くほどの完成度だが、映画会社など、依頼されて作った映画は凡庸だ。
また、彼は俳優、特に若い女優に対する思い入れが強く、映画に若い女性が登場しないと、印象が薄くなる。薬師丸ひろ子、原田知世という角川映画から始まって、小林聡美、富田靖子あたりがピークだろう。自分で思い定めた女優を徹底的に映画の中で愛し続け、その思いが本人に伝わることで、映画らしくなる。
タイプは大きく異なるが溝口健二がこのタイプである。かの名監督は俳優、特に女優を徹底的にしごき、具体的な指示も出さず、本人がノイローゼになるまで追い込みダメ出しをする。そして本人の自覚で頂点を越えたとき、はじめてOKを出す。女優は公私ともにぼろぼろになってしまう。それに耐えた唯一の女優が田中絹代だったといわれていますね。
ということで(長くなりましたが)この作品には大林が本来得意としする女優への思い入れは存在せず、集団劇としての面白さも表現できず、原作をただ忠実に映像化しているようなものであって、映画としての完成度と面白みに欠ける。
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