[コメント] ピエロの赤い鼻(2003/仏)
話にリアリティがない、というのは「映画として寓話的に描いている」ということでまだ理解できるが、しかし、それではいったいこれは、寓話を通して何を語ろうとしているのかがよくわからない。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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一つ一つは、良い話だと思うのだが、どうもこの映画では、そのまとめ方がはっきりいってまずかったのではないだろうか。
爆破事件の犯人探しの人質とされた4人を元気づけようとしたドイツ兵の、その人間としてのごく当たり前の行いさえ許されない戦争の悲劇、またその中で輝いた彼の人間性の気高さは感動的だった。また、真の犯人をかばった老人の生き様や、それを知った夫人の姿は良い話だとは思う。
ただ納得がいかないのが、これが全編を通して、ピエロを演じる父の姿に反感を抱く息子へ、父の親友が語って聞かせる、という話になっていることで、そういうことをする必要があったのだろうか?
あれもこれもいれておこう、という感じになってしまって、かえってどの話も今ひとつの水準にとどまっている。
「笑い」の素晴らしさにしても、人質になって処刑されるかもという主人公たちを励ましたドイツ兵の人間性の気高さは感じられても、それがそのまま「だから笑いが素晴らしい」とは思えないし、自己犠牲の精神をたたえるにしてもちょっと扱いが唐突な感じがする。そういう意味では、全体として一つの方向にそってまとめられているとは思えないのである。
一つ一つのエピソードは良い話なだけに、余計にそのまとめ方の不備が惜しまれる。ただ、元ピエロのドイツ兵の感動的な生き様は強く心に響くものがあったことだけは、確かだ。
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