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[コメント] エターナル・サンシャイン(2004/米)

カウフマン脚本、ジム・キャリー主演の映画。ジムに期待大の私としてはイマイチ。カウフマンにあまり期待していない私としてはまあまあ。
スパルタのキツネ

**ネタバレ注意**
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私はジム・キャリーのファンである。ジム・キャリーのコメディは大好きだし、ドラマも大好きだ。そこでジムの一連のドラマ作品の観点でコメントしてみたいと思う。

ジム・キャリーの出演作には記憶にまつわる共通点がある。例えば『マジェスティック』では記憶喪失の主人公ピートを演じていた。また『トゥルーマン・ショー』では何も知らない主人公トゥルーマンの記憶の秘密を描いており、ある意味、記憶そのものをテーマにした作品とも言える。 最も評価の分かれる『マン・オン・ザ・ムーン』は、人の記憶に残る究極の芸を目指したアンディ・カフマンを演じていたように、他2作と比べ異色ではあるものの「記憶」をテーマにした作品と言えましょう。

そして、本作、記憶の操作(消去)と再出発を描いているように「マジェスティック」にも「トゥルーマン・ショー」にも通じるテーマがある。 きっとジム本人の嗜好でもあるのだろうが、この一貫性が(本作に限っては)ドラマより設定ありきのカウフマンとの連携で自分的にはマイナスとなった。この2人のマッチングはあまり良いように思えない。コメディタッチの恋愛ドラマとしても『ライアーライアー』のようなシンプルさのほうが自分の好み。

ジム・キャリーの力の抜けた演技が評価されているようだけど、おそらくそれはジム特有の濃厚な演技から来る先入観ではないだろうか? ジムの過去のドラマ作品を観ていれば、あの表情が随所に見られることが判るだろう。私にとって本作のジムは、カウフマンの脚本に合わせるあまり、本来のジムらしさが薄れているように感じた。

一方、チャーリー・カウフマン脚本の作品は『マルコビッチの穴』以来どういうわけか全作見ている(ジム・キャリー作品ですら全作見ていないのに…)。正直全くもってファンではないのだが、たまたま設定に惹かれたのだろう。私的に面白いと思ったのは「マルコビッチの穴」ぐらいで、それ以来はどうもしっくりとこない。観ているうちに、もうどうでもいいや〜みたいな感じで、あまり「記憶」に残らないのだ。 本作では設定王のカウフマンらしさが薄れていることは自分的に幸いした。それはジム・キャリーとの妥協点だったのだろう。

人の記憶を端末から消去する設定については、PCなどに内蔵された消去可能なメモリー(RAMなど)にヒントを得ていると思われ、云わば部分的なフォーマット作業。本作のキルスティン・ダンストとじゃれていたエンジニアが自動消去モードに切り替えていたのはまさにそれ。フォーマットに纏わるトラブルはPCを使った仕事をしている人であれば誰しも経験するだろう。

ここで疑問に思うのは、ここまでの最新技術があるのなら人の記憶を消去する前に、何らかの不祥事に備え、記憶を一時的にバックアップする技術をまず確立するのではないだろうか? という点。 記憶を消すことはできてもコピーすることができないという設定なのかもしれないが、こういった危ういサービスが成立すること自体疑問。 誤って、記憶を完全フォーマットしてしまえばどうなることか? 再起動が不可能となってしまう(植物人間状態)など想像するも恐ろしい(ネタ的には使えるかもしれないが)。

そこで、演出上必要となった存在が「1+1=2本」のテープなのだろうが、ラストの2人に見られたように感情のリセット&セットに一役買う効果はあるかもしれないが、契約の確認なら1枚の紙で問題ないはずだし、それを最初から用意する意図がわからない。 博士のクライアント心理の研究資料なのだろうか? だとすれば管理が杜撰(ずさん)過ぎる。

とは言え、ジムがクレメンタイン(ケイト・ウィンストレット)と幼少時代や青年時代の記憶に「退避」を試みたり、消去中の外部からのアクセス(ベッドの周辺のノイズ音)が影響を及ぼしたり、ジムが外部にアクセス(目を開けたシーン)を試みたりする設定など、随所で面白かったのも事実。記録媒体の注意事項のオンパレードでしたね。

そんなこんなで、最終的な感想は、カウフマン脚本、ジム・キャリー主演の映画としては、ジムに期待大の私としてはイマイチ。カウフマンにあまり期待していない私としてはまあまあ、となったわけです。

(評価:★3)

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