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[コメント] さすらい(1957/伊)

ゴダールの『ウィークエンド』もヴェンダースのロード・ムービー三部作も、本作なしにはありえなかっただろう。「首はあるけど頭はなくて、腕は2本で足がない。何だ?」
寒山拾得

**ネタバレ注意**
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この娘、可哀想だなあ。ヤサグれて仕草が親父に似ているのが細かくていい。旅先の爺さんと仲良くなって町内で反乱を起こしたり雪合戦などしている。さんざんなロードムービー。原題が「叫び」で邦題と違うのは有名な話だが、邦題はそれなりにそぐわしい。ゴダールもヴェンダースも本作が大好きなんだろう。

アリダ・ヴァリの言動が常軌を逸しているのは本作の瑕疵とも見える。若い燕捕まえて旦那を追い出し、まだ子供の娘まで一緒に追い出すのだから。しかし、この常識外れに制作者は自覚的らしく、不条理な無茶された監督の体験談らしい。彼女が最後に泣いて自殺したスティーヴ・コクランに詫びるのは作者の願望か。

2人目の元カノはベッツィ・ブレアに似ているなあと思ったら本人だった。イタリア語も流暢なものだ。彼女らと見に行く大河でのボートレース、泥濘の帰り道が印象的。続くガススタも忘れ難く印象に残る。三原葉子似の姐ちゃんはなんとドリアン・グレイという芸名。最後に辿り着いた河川敷のあばら家群は一体何なのだろう。白旗を立てれば医者が来ることになっているのか。ベネズエラ行きの案内を千切ってしまう。

学生時代以来の再見。密やかなピアノの劇伴が素晴らしい。イタリアでは1970年までは離婚は違法だったとのこと。コメントは娘が爺さんに出す謎々で、答えは「シャツ」。

(評価:★5)

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