コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] 戦雲(1959/米)

シナトラマックィーンが日本軍やっつけるだけの映画と思いきや、中国国民党政府の裏話になりやたら盛り上がるが本当だろうか。ジーナ・ロロブリジーダは『サンセット大通り』のグロリア・スワンソンそっくりで、邦題は明らかに商売する気がない。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







「第二次大戦、北部ビルマのカチン丘陵、千人弱のカチン族兵士が英米軍の指揮下で4万人の日本兵を食い止めた。少数部隊が不利な条件で自由を守ったのは歴史上例を見ない」との冒頭字幕。例を見ない、がタイトルになっている。とんでもない山上の寺院とか空撮され、カチン族を嫌っているナバホ族のブロンソンという断片もある。

43年、部隊は密林でテント生活。ヘッドは顎髭生やした大尉のシナトラ。輸送機からパラシュートで物資投下。レイテでは日本軍が競って争奪したと大岡昇平が書いているやつですな。モルヒネがなくて負傷兵に酒呑ませており、苦しむ兵をシナトラはあと15時間苦しませるのかと射殺。ここは後で裁かれている。投下に目をつけて日本軍は夜襲するも、待ち伏せされてとても簡単にやっつけられる。本作の日本軍はとても弱い。

カルカッタやカワガールで「化粧品の広告のような」女ジーナ・ロロブリジーダとのどうでもいいロマンスが長々あって部隊に帰還、クリスマスパーティしているが英米軍の風習に合わせているのだろう。最中に日本軍急襲、やはり簡単に一掃されるもカチン族に密告者がいて長に処刑されている。日本軍の飛行場がある北ビルマのユバチの攻撃命令があり、中国国境から大砲積んだトラック送るから使え、強行軍だ。で2日待てどもトラックはやって来ず、えらい無茶だが部隊は侵攻して夜襲、盗んだガソリン撒いて景気よく零戦爆破して銃撃戦。カチン族の長もブロンソンも殺られちゃう。

ここから話は複雑になる。帰路に補給車が全部やられていて、襲ったのは中国の地方軍閥(後の中国政府は盗賊と呼んでいる)だと現地証言。怒ったシナトラは中国侵攻。ベトナムみたいな水郷の村に辿り着き、昼寝している兵隊たちを急襲制圧、重慶政府からの中国の領土保全委託、国籍関わらず軍需物資の強奪を認める文章を発見して一同呆れている。米軍から取って日本軍に売るのかとマックィーンが叫ぶのだが、そんな話があったのだろうか。

大佐経由で重慶からの侵攻遺憾の電報届き、相棒のリチャード・ジョンソンが射殺され、シナトラは重慶政府と司令部にくたばれに返電して、指示無視して中国捕虜を射殺命令。部下を昇進させてシナトラは戻って監禁。将軍に叱られ、カチン兵射殺などが報告され、中華民国代表はシナトラ入院ので手を打つと云うが、三者面談で将軍はシナトラの肩を持ち、蒋介石から謝罪が届いたと披露する。

フィクションと断りもないところを見ると、この辺りも実話なのだろうか。「きっと阿片の密輸業者」と噂され、中国旅行に出かけた老紳士ニコ・リガスポール・ヘンリードはきっとこの裏で暗躍しているのだろうと思われたのだが、後半まるで登場しない。彼は何だったのだろう。

大佐の運転手マックィーンはカルカッタの路上でジープで酒呑んでいる処をインドの警官に見つかってノシている。このアクションが面白く本作のベストショットなのだが、駐屯地でそんなことしていいのだろうかと思われた。いろいろ云い訳しているけれど。マコ岩松は看護師役らしいが印象ない。

(評価:★3)

投票

このコメントを気に入った人達 (0 人)投票はまだありません

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。