[コメント] 華氏911(2004/米)
私たちは、「作為」に振り回され、気がつくと架空の
世界の住人となっている。
どんな映像にも必ず作為がある。 これはニュース番組を見るときでも、写真雑誌を見るときでも、 感じることだ。
私たちは、そういう「作為」に振り回され、気がつくと架空の 世界の住人となっている。
ところが映像は「真実」を伝えるものだと信じられている。 たしかに、写っているものは、「どこかでかつてあった」ものである ことは間違いないのである。だから映像には馬鹿にできない力がある。
それだけいっそう、その背後に潜む作為に気づけないことが多いのだと思う。
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この作品は、ある一つの視点でブッシュ大統領にまつわる事件を整理したものである。 部分的にはかなり意図的にブッシュを悪として演出している。
ドキュメンタリーとはそういうものなのだろう。
そして、そこにはなるほど「ひとつの見方」がうかがわれる。私にはそれを 完全に肯定することも、否定することもできない。
傷ついたイラク住民、死体、傷ついたアメリカ兵士、わが子をなくした 母親の悲しみ・・・テロにおびえる人々・・・これらには、まったく 演出がないとはいえないにせよ、「かつてあった」なにかであること だけは確かなのである。
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ブッシュ大統領周辺に潜む作為的な物語を暴きだそうしたこの映画にも、 あきらかに作為が存在している。 私たちは、そういう作為のなかで、架空のものではない何かを、 常に求め続けるべきなのであろう。
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