[コメント] 友は風の彼方に(1986/香港)
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『レザボア・ドッグス』の元ネタとなったとか言われているが、本作の方が抜群にカッコイイ。さすが本家。特に、ダニー・リーがバンに乗っている警官二人を二丁拳銃で射殺するシーンは、『レザボア・ドッグス』のあのシーンよりも遥かにカッコイイ。ハリウッドがどれだけ真似をしても香港映画に勝てない証拠がココにくっきりと残っている。
クライマックス30分のアクションシーンの見事はさすがは香港映画、と言う印象。緊張感、カッコ良さ、そして熱さ。全てハリウッドには真似できない出来栄え。
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但し、全体としてみると少々物足りなさを感じる。
脚本の密度は確かに濃く、非常に良く出来た作品に思うのだが、少々焦点が散漫に鳴っているように思える。その影響からか、クライマックスに至るまでが少々もたついた感があり、その辺りのドラマの語り口に少々滑らかさが欠けている様に思う。
悪役にもきちんと個性を持たせ、人間として描く。老舗警官と若手警官との対立や、フィアンセとのラブロマンス。そしてダニー・リーとの熱い友情。コレだけの物を1時間半で描ききってしまおう、と言うのだ。それは確かに少々詰め込みすぎで焦点が散漫になってしまうのも否めない気がする。
これらはドラマを盛り上げる脇の要素として存在していればいいだけだと思うのだけど、リンゴ・ラムはきちんと手堅く作りたかったのだろうか?メインストーリーを盛り上げるのに、確かにある程度機能しているものの、やはりコレでは、ラストでチョウ・ユンファが死ぬシーンで、さほどの熱さは感じなかった。
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そう考えてみれば、ジョン・ウーのチョウ・ユンファ×ダニー・リーコンビの『狼 男達の挽歌 最終章』は焦点をきちんと絞りきれていたからこそ、涙が出るほど熱くなっちまったのかな、俺。要するに単純って事か(自爆
ま、そういう訳で、★4はこの作品がやろうとしている事が大好きな事だし、野心的な作品だな、と言う意味で少しおまけ。
ストーリーが良く出来ているだけあって、これ、まともにリメイクしたらとんでもない作品になるんじゃないかな?
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リンゴ・ラムはまだ少ししか見てないので何ともいえないのだけど、ジョン・ウーと違って渋い作品を作るなぁ、と言う印象。ウーがアクションとしての美学を追求している点に対し、リンゴ・ラムは物語そのものとしての美学を追及しているように思う。ウー程荒唐無稽でなく、あくまでリアリズムに徹した渋いアクション撮ってるし。
まぁ、でも俺はドラマ的にもストレートなジョン・ウーの方が好きな訳だけど。
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