[コメント] ラヴ・ハッピー(1949/米)
無名時代のマリリン・モンローの登場シーンは、もう少しさりげない扱いなのかと想像していたのだが、なんの、スターになってからのカメオ出演と云われても疑問に思わないぐらい突出したオーラを放っている。尚且つ、カメラの視点(演出)にも特別なテンションが感じられる。
最末期のマルクス兄弟の作品で、チコ、ハーポ、グルーチョの3人のみの参加。しかも、ハーポとグルーチョが一緒に映るカットはほんの数カットで、なんと、チコとグルーチョはワンカットも同一カットに映らないという映画だ。そもそもグルーチョは狂言回し役で出番が少ないのだが、ラストの屋上に3人いる設定なので、3人が一緒に映らないのはかなり寂しい。
ともあれ、映画全体を通じて、チコとハーポはいつものパターンで大活躍するので、無い物ねだりをせずに見れば素直に楽しい。多くはハーポの唖者としての設定と、周囲からまるで透明人間のように扱われるご都合主義部分でコメディをドライブする。これもいつもの感じだ。最も素直に目を瞠ったのは、ホテルでレイモンド・バーらに捕まったハーポが、コートのポケットから色んな物を取り出すシーン(氷の塊、雪ソリ、犬など)。或いは、ハーポがチコに状況を口笛で伝え、チコが言葉の反復とダジャレで状況把握していくシーンだ。しかし、これが映画的か?と問われると、首肯し難いが。
映画として、ということなら、セントラルパークでハーポがお得意のハープ演奏を披露する部分の仰角カットが好きだ。あるいは、映画中舞台として挿入される「サディ・トンプソン・ナンバー」のシーンもいい。ヴェラ・エレンがサマセット・モーム原作「雨」の主人公に扮する、短いミュージカル場面だが、こゝのカット割りはいい。
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