[コメント] ストライク・アップ・ザ・バンド(1940/米)
高校の外観や学生たちを映してクレジット。ブラスバンドの練習風景。ミッキー・ルーニーがドラム担当。勝手にジャズ風に崩すと、楽譜通りやりなさい!と女の先生に怒られる。メンバーで目立つのはフィリップとウィリー。ルーニーは、夜練を誘うが、皆乗ってこない。一人残って練習するルーニー。ジュディ・ガーランドの登場は、練習するルーニーをピアノの陰から見る、というショットだが、そっけない繋ぎがいい。まず、ルーニーが一人ピアノを弾きながら唄い出すが、あまり上手くはないけれど、優しい声が心地良い。そこにガーランドの素晴らしい歌唱力が加わり、感動するのだ。歌は「Our Love Affair」。この曲のメロディが甘美だ。二人の共演作では多い、ガーランドがルーニーに想いを寄せているというパターンだ。
MGMミュージカルって、前半と後半にそれぞれ大がかりなプロダクション・ナンバーを入れる、という構成が多いと思うが、本作もその通りで、序盤、けっこう早くにダンス会の場面の「ラ・コンガ」というナンバーがあり、ラストは、ガーシュウィン作曲のタイトル曲を中心とする大人数のバスビー・バークレイらしいミュージカルシーンがある。ただし、中盤に、ちょっとぶっ飛んだ演劇「ニューロシェルのネル」のシーンがあり、こゝもメチャ面白いのだ(フィリップもウィリーも良い見せ場がある。特に、ウィリーの昇天!)。私の好みで云えば、序盤の「ラ・コンガ」が、本当に常軌を逸した造型で最高だが、中盤の演劇シーンも甲乙つけがたい出来だと思う。いずれの場面もガーランドの魅力が弾けていると思う。
また、本作でも、転校生としてジューン・プレイサーが登場し、『青春一座』(1939)と同じく、ルーニーをめぐってガーランドのライバルのような役割を担うのだが、ルーニーとプレイサーが二人でフェアに行くと知ったガーランドが、図書館で唄う「ノーバディ」のシーンも良いシーンだ。古今のカップルの名前をどんどんあげていく歌詞で、ロミオにはジュリエットがいる、というようなところから始まるが、最後の方は、ジキルにはハイド、メトロゴールドウィンにはメイヤーがいる、という楽屋オチには笑った。
あと、ゲスト出演でポール・ホワイトマンと彼のバンドが実名で出演しており、かなり大きな役割を担っている。ホワイトマンは、科白も多く、しっかり演技しているのだ。終盤には、ホワイトマンが主催する高校生バンドのコンテストがあり、ファイナル曲は、その参加者全員でのタイトル曲のプロダクション・ナンバーとなる。こゝは、バークレーらしい、これでもか、というぐらい華やかなシーンを繰り出すのだが、途中、ハープを弾く女性たちを舐めてクレーンで移動して桜の木の下のガーランドとルーニーに寄り、カットを割らずに引くと、二人の周りに沢山人が出現している、という演出には吃驚した。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (0 人) | 投票はまだありません |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。