[コメント] 永遠の語らい(2003/ポルトガル=仏=伊)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
こんな映画とは知らないでレンタルしたので、呆気にとられてしまった。
まるで子供向け南欧→トルコ→エジプト名所案内映画のように話は進む。おい、ちょっと待てよ。俺は確かに海外旅行はしたことはないが、高校の世界史だってそんな説明は教えてくれたぜ。観客を無知な子供扱いしてんのか?なおかつ、ヨーロッパを世界文明の源流のように語る。辛うじてトルコとエジプトは歴史的建造物を見せるが、やや皮相的に説明する。アデンに到っては市場の様子しか見せないで船旅にカメラを戻してしまう…なんだ、この偏った世界紀行は?
ドヌーヴだのパパスだの、なつかしの女優(失礼、サンドレッリってよく知らないんだ)がマルコヴィッチ船長を囲んでのおしゃべりタイムに、映画はいきなり突入する。なぜだかフランス、ギリシャ、イタリア、アメリカを象徴的に見せるようなキャスティング。そして何だか歯にモノの挟まったような話し方。「原理主義」だの「アラブ人は怖い」だのイカニモな語句。このへんで妙な雰囲気ができあがってくる。そして、冒頭から出ずっぱりのポルトガル人母子がテーブルに招かれる。今から考えれば感情移入させる姑息な手段だ。そして、イレーネ・パパスが渋い喉を聴かせてくれている途中で船長に耳打ち。皆さん、この船には(アラブ人によって)時限爆弾が仕掛けられました発言。あっという間にパニック状態。そして主人公母子は逃げ遅れて…。
はい、カントクさん、これでみんなに中東への恐怖は伝わりましたね。お見事です、パチパチ。でもさ、こりゃ中東攻撃プロパガンダ映画でしかなかったのだね。それも極めて一過性の。アフガンからイラクへ今も続く悲劇を前にして、この宣伝映画はひどく空しい。どんな翼賛映画だって、一流の作品は美しさや感動を内に秘めているもんでしょ。
判ったよ。こりゃ三流映画だ。
だけどオリヴェイラ、あんたのお陰で銃弾を受けた幼い子供がもしかしたらいるかも、ってことを忘れない方がいいぜ。全世界規模で、月夜ばかりと思うなよ。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (1 人) | [*] |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。