[コメント] 風立ちぬ(1954/日)
情けないような凡作。冒頭の風に画架が倒れる有名な件からして、画面に風が立っていない。小説では主人公は常に節子(病人)の後を歩くが、本作では常に先を歩く。杜撰な演出だ。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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堀辰雄の小説については「どうやって飯食っているのか判らん」みたいな批判が批評家筋からある訳だが、興味深いのはこの映画の改編はこれら批判に対応しているところ。じゃあ主人公に地道な職業もつけて、家族の話も盛り込んでみよう、ということになったのか。結果は透徹した原作の純粋さに夾雑物を押し込んだようなもの。
それでも山村聰の優しい父親の造形(「ウイスキーを少し持ってきてください」)は印象に残り、彼が山を下りてゆく場面で終わらせればそれなりの作品になっただろうに、あの突然の噴火以降の暗転は実に無残。「とってつけたような収束」のサンプルとして、映画学校は教材に活用されるとよい。
この作品の封切りは作者逝去の翌年。話題に当て込んだのだろう。
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