[コメント] みかへりの塔(1941/日)
尺の長さや緩急のなさが気になるし、どことなく散漫な印象を与えるものの、屋外での撮影はやはり神が宿っているとしか思えない素晴らしさ。教室の中のシーンや家の中のシーンになると、途端に魅力を欠いてしまうのですが、外に出るともう水を得た魚のように縦横無尽に走るカメラ!と子供!ここでもやはり、他作品同様「道」の使い方が非常に面白い。清水の本領を発揮させる要素はやはり、道、子供、水…だと思う。あ、あと呼応と反復も重要ですね。
中でも驚いたのが、あのジグザグの道を子供たちが走り回るシーン。あれはキアロスタミのジグザグ道三部作、なかでも『友だちのうちはどこ?』のシーンを想起させる。キアロスタミは小津が大好きと言っているらしいけれど、きっと清水の事も大好きに違いない。そして『友だちのうちはどこ?』はこの『みかへりの塔』へのオマージュなのではないか?すごく気になって夜も眠れないので、近いうちにジグザグ道三部作を再見しようと思います。
水路が完成したと同時に流れる水のきらめきと、それを追い走る子供たちの足を捉えるシーンなんか幸福に満ち溢れていて、なんとも素晴らしいのですが、"不良"という一括りで描かれる子供たちに違和感を感じてしまったのでこの点数。その括りのせいで、子供たちの魅力が矮小になってしまっている。もったいない。
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09.06.17記(09.06.16DVD鑑賞)
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