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[コメント] ビッグ・フィッシュ(2003/米)

父はまるで、子供の気持ちのまま大人になった永遠の『Big』。←と違うのは、子供のままがいい、大人になりたくない、とかの次元ではないテーマが描かれているところ。父はなぜ妄想の話しをするのか?様々な人が登場し、ストレートな感情がぶつかり合う。
guriguri

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







まずは、外見から、 レトロな風景・ファッション・モノが沢山出てくる色とりどりな映像がステキだった。 映画館の大画面で動く写真として楽しめる映画だと思う。 ひとつひとつの画像が個性的で色彩もきれいで、 特に「シザーハンズ」の風景を思い出させるシーンが盛り込まれている。 左右正対称町並みの風景、衣装、メイク、何とかハンド、卵を割る機械・・・

監督がこの原作を読んだときの、イメージの世界を垣間見た気分になる。

監督はこういった非現実的な世界を描くことを好み、 実際のリアルな世界を扱う事は不得意のように思えたが、 映画の中にその答えがあって、 スペクターの少女がおばさんになって、エドワードの息子に言うセリフ、 「私の世界が空想で、あなたの世界がリアルなの」 は、すごく監督が誰かに言わせたかったセリフに感じた。 主人公や、息子にこのセリフを言わせない演出がとても気に入った。

映画を観ていつも思い知らされることがある。 「ユーモアがあればどんな辛い事も楽しく感じる。」 ユーモアを無くすと、家が傾く家に住んでいるおばちゃんみたいになっちゃうことを 監督は表現したように思えた。

外からアクションを与えても、自分で処理する方法を見つけないと、 また、元の様に荒んでしまう。

今回の映画で「リアル」という言葉が私の中でキーワードになっていて、 映画の開始から、息子は「リアル」を父に求めていて、 やっと見つけた「リアル」の証拠を手がかりに、夫人に会いに行くが 「私はリアルではない」と言われてしまい、 自分のいた世界が「リアル」だった・・・ということを知る。 とっても遠回りだけど、素敵な結末だった。

現実が退屈だと「リアル」が他にあると考えがちだが、 リアルはやっぱり自分の側にあるのだと、気付かされる。 現実世界に反発し、 非現実(今回の言葉だと“妄想の世界”)へ行く事を正当化している。 それもやはり「リアル」をちゃんと生きているということだ、と言っている。 しかも、非現実を観ることは、現実世界を色鮮やかにしてくれるものだと。

エンターテインメントを創る人たちが好きそうな言葉だなと実感する。

やっぱり映画は人生を楽しく生きる為の教科書だな。

(評価:★5)

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