[コメント] 黒い太陽七三一(1988/香港)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
元ネタは森村誠一の「悪魔の飽食」。
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■「悪魔の飽食」とは?
1980年代、日本共産党機関紙の赤旗日曜版で連載され、後に光文社より単行本として
刊行された。旧満州国で731部隊が行っていたという人体実験の実態を詳しく描いた。
国内で広く731の存在が認識されるターニングポイントとなった。
■「悪魔の飽食」豆知識
元隊員から提供されたとする写真を続編に掲載したところ、その大半が偽物である
ことが判明し、光文社版は続刊を含むすべての版が回収され、絶版となった。
その後、問題写真を削除した上で、角川書店より新たに出版されている。
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赤旗連載だったこともあり「日共のプロパガンダだ!」と言われることも多い。
また、昨今の「新しい歴史教科書」をはじめとする右傾化の影響か、
「自虐史観だ」「人体実験なんてなかった。証拠がない」とする人も多い。
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■「悪魔の飽食」への批判
・関係者はすべて匿名であり、その証言の裏付けがとれない。
・731部隊に関する資料をアメリカが回収し、公開していないため検証不能。
・二転三転する証言により、証言者の信頼性に疑問符が付く。
・戦後に関係者から証言を引き出したハバロフスク裁判自体が法学者によって否定されている。
・日本共産党の協力の下で作成されたため、信頼性に問題がある。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%82%AA%E9%AD%94%E3%81%AE%E9%A3%BD%E9%A3%9F
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ところが。
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■やはり731は人体実験は行っていた
近年、ニューヨーク在住のノンフィクション作家である青木冨貴子によって
石井四郎(関東軍防疫給水部長=731部隊長)の日記が発見された。
戦後の石井四郎の行動が記録されており、戦時中の行動に関しても符丁としてだが
相当量が記載されていた。これまで調査されてきた人体実験等の内容と矛盾は
見られず、裏付けとなりうるとされている。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4103732059
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青木冨貴子の発見した日記だけでは決定的証拠にはならないものの、
731部隊は人体実験を行っており、あながち「悪魔の飽食」も嘘ではない、
というのが昨今の評価なのではないかと思われる。
とはいえ、いまだ真偽は闇の中。決定的な証拠が発見されるまで、
「731はでっちあげだ! 中国人は嘘ばかりだ!」
「731は実在した! 我々は謝罪するべきである!」
とか、左右に突出したやり取りはあまり建設的ではないと思われる。
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■まとめ
何かとややこしい話をぐだぐだ書いてきたけれども、
この映画を評価する上で、あまりそういうのは関係ないという事実。
というか、これ、どこから見ても「モンド映画」でしょ……。
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日中はともかく、ほかの国の人は残酷な「娯楽映画」として見てそう。
間違いない。ってか、絶対。そう思われて仕方ない作品だと思います。
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