とにかくモノクロのハイコントラストが素晴らしい。また、細部まで計算しつくされた構図やアングルなどは目を見張るものがあります。特に光の強弱にまでとことんこだわりを見せるその映像美は感嘆してしまうほどに完成度が高い。サイケデリックな装いの女性陣も見ていて飽きない（四角い形をした傘なんて是非私も手に入れたいと思う可愛らしさ！）。芸術映画としてはかなり高度な作品だと思います。

しかし映画を娯楽作品として見た時に、この作品を手放しで評価する事は出来ません。これは空間芸術作品として楽しむべきで、映画を観よう！と思って観ると非常に退屈。意味不明なストーリー展開も、せめてもう少し尺が短ければ我慢も出来たかも知れませんが、映像だけを楽しむにしては時間が長すぎる。こんな不可解な作品、理解出来る人っているのか？と思ってしまいます。

吉田喜重監督作品は初見だったのですが、ちょっと苦手意識がついてしまった感じです。

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08.07.10　記