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[コメント] 一年の九日(1961/露)

人間はどこでも同じ。科学と文明と人間。青年期に観て欲しい映画。☆3.8点。
死ぬまでシネマ

ソビエト連邦の事情を考えると、どの位当局との折あわせがあったのかが気になるが、これだけ人間の煩悶(反問)・懊悩が描かれているのには感心する。レストランのシーンを見るまでもなく科学者は富裕層であり、インテリだが、考える事は畢竟一般の人びとと変わりがないのだ。(でも当時これは国民のどの辺りを観客層と想定していたのだろうか?)

やはりリョーリャの人間造形が興味深い。当時の東側諸国は西欧より遙かに女性進出が進んでいた。しかしその中で結局リョーリャはグーセフの朝ご飯の用意を億劫がっている。理性的選択と自らの中の女性的本能のと狭間で逡巡する様は些か可哀相だ。

3人の議論や結婚式・原子力研究所での科学談義は、現在の我々には稚拙にも見え、それ以上に羨ましく思える。放射能の医学的認識にも事実誤認があるように思われるが、鵜呑みにしなければ大きな問題ではない。出来ればソ連邦崩壊前の多感な時期にこの映画を観たかった。そうすればもっと大きな驚きと影響を受けられただろう。

(評価:★3)

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