[コメント] 砦の29人(1966/米)
戦闘シーンのみならず、室内での殴り合い等でもラルフ・ネルソンのアクション演出は冴えを示して見応え充分。出来は決して悪くないがしかし非常に奇異な印象を残す西部劇だ。アルドリッチの『ワイルド・アパッチ』にも似た暗さだが、アルドリッチほどの透徹さは無い。
ビビ・アンデルセンを中心とする複雑な関係性がスカッとしない主な原因だが、ビビ・アンデルセンの感情表現も西部劇として違和感がある。また、シドニー・ポワチエが馬を馴らすために騎兵隊に同行しているという設定は面白いし、彼のキメまくったキザなキャラクターは当時としては画期的なものだったのだろうが、馬喰なのかガンマンなのかよく判らない扱いにも違和感を覚える。音楽の使い方もまるで西部劇らしくない。結局、ありきたりな西部劇に風穴を開けようとする意図が空回りし、社会性と娯楽性が中途半端になってしまっている。この映画はジェームズ・ガーナーとビビ・アンデルセンという共に先住民の異性と情交を結んだ二人にもっと焦点を絞って描くべきだったのだろう。
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