[コメント] 高校さすらい派(1970/日)
同時代の学園紛争が戯画的になぞられるなか、新左翼の暴力革命への反転攻勢のニュアンスまであり殆ど若松映画。とんでもないものを予言してしまっている。見処は全てのショットが驚異的に可愛い吉沢京子。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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学費値上げ闘争のための自治会結成街宣を邪魔する校長に雇われた右翼みたいな暴走族たち。「校長は社長、教頭は専務の株式会社私立高校。ある意味正解なんですよ」と佐野浅夫の教頭は語る。LL寄付強制反対の講堂占拠と「高校生ブルース」の合唱の祝祭描写。すでに森崎ならではの描写。
難破船で契約される原始共産制。厭じゃありませんか軍隊はと歌うキャンプファイヤー。会社みたいな学校と警察の結託を映画は指弾し続ける。機動隊に囲まれて「戦いを続けてほしいの」という無茶な武原英子は機動隊の救出不備で死んじゃって、彼女の親父の理事長神田隆の詭弁に生徒たちは背を向けて、ラストの幻想で森田健作知事はガスマスクつけて突撃してくる機動隊をマシンガンで皆殺しにするのだった。
千葉県知事は70年代のテレビ出演時よりも更に格好よく、「ドカベン」という渾名の山本紀彦の快活な喜劇が実にいい。吉沢京子は脇役だが登場する度に全部持っていってしまう。事務所が過激な主役を断ったんじゃなかろうか。しかし、原田知世みたいな武原英子も可愛い。
万年伍長の教諭山本麟一はここでも右翼キャラ。私的ベストショットは、知事らを軍隊で鍛え直すと怒る彼に挙手して立ち上がり「日本に軍隊はあるんですか」と尋ねる吉沢京子。山本の答えは「今に出来る」。
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