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[コメント] 高校さすらい派(1970/日)

「おれは男だ!」の一年ほど前の映画だが、森田健作の剣道イメージで始まる。こゝでも笠智衆が師範なのだ。舞台は久里浜少年院から、すぐに鳥取県へ飛ぶ。ケン・サンダースがジープで森田を出迎える。砂丘のカットが美しい。
ゑぎ

 浜で小舟を押し上げる山本紀彦と出会う。この映画、山本紀彦がとても美味しい役で、まずは、この点が一番うれしかった。

 森田も山本も高校生。優等生で理事長(神田隆)の娘、武原英子達が加わって、学校と対決(闘争)するお話。学校側は校長が内田朝雄、教頭に佐野浅夫。担任は佐藤友美。他に、伍長と呼ばれる山本麟一がおり、武原の妹役・吉沢京子から、「日本に軍隊ってあるんでしょうか?」と質問されて「そのうちできる!」と答える。

 中盤の、森田が武原の部屋(2階)に夜這いをかけるシーンが、高低の見せ方を活かした良いシーンだ。妹の吉沢も、父親の神田も、森田を見て、まるで驚かない、というのがいい。

 山本紀彦の家の貧乏な様子や彼の母親、三崎千恵子の自堕落な描写なんかにも、あゝ森崎東らしいなぁと感じるが、しかし何といっても、終盤、森田と山本紀彦と武原の3人が、浜辺の廃船に逃げ込んでからが、森崎らしさが横溢する。焚火をして軍隊小唄を唄い、裸踊りになる。武原もブラ姿になるのだ。ガスマスクをした官憲たちと、マシンガン掃射のイメージシーンは、気持ちは分かるが、ぶっ飛びすぎか。いや、高校の文化祭映画にありそうなイメージでもあり、これを幼稚ととるか、若々しさととるか。いずれにしても、大人びたもっともらしい帰結よりも、森崎らしいと思えるのだ。

(評価:★3)

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