[コメント] ほしのこえ(2002/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
前に『彼女と彼女の猫』いう短編をネットに上げ、私もそれを観たのだが、アニメーションのクォリティの高さ云々ではなく、特殊な雰囲気が記憶に残る作品だった。その新海監督が長編(というほどでもないが)アニメを作ると言うことで、ネット上ではかなり話題になっていて、私自身も楽しみに待っていた。こんなにアニメを楽しみにしていたのは随分久々だったな。
ということで、かなり早い段階でこの作品を観ることとなったのだが、実際観てみたところ、『彼女と彼女の猫』とは雰囲気だけは随分違っているが、やっぱり新海監督らしい作品に仕上がっていた。物語自体はありきたりとはいえ、雰囲気はなかなかよろしい。
一人で作ることができるというのは、一つ大きな強みがある。自分で構築した世界観をすべて思い通りに作ることが可能なのだ。問題は、それにはとんでもない時間がかかるということと(それと自分の世界から一歩も出ることができないと言うこと。商業ベースのアニメーションだと、その中で技術的、思想的な切磋琢磨が行われるが、ここには自分の世界しか出すことができないということもあるが、ここでは触れない)。そのプレッシャーの中で完成させることができたという事自体が賞賛に値するだろう。事実新海監督に続く人は今のところ現れていないのだから、どれほどの才能があるかは推して知るべしだろう。
ただ、何故だか観ていて苛立ちをどうしても感じるのだが、何でだろう?と思っていたら、某友人と話していて、何となくその理由が分かった。
この作品には、閉じた一人の世界しか存在しないのだと言うこと。
そうか。それか。昔私自身閉じた世界で生活していたもんだが、それを否応なく思い出させてしまうのだ。それは居心地悪いと言うよりは、一種の恐怖と言っても良い。そんなものまで思い出させてくれたという、妙な作品だった。だから、一度DVDを観た後、実は全く観直してない…今度又観てみようか?
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