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[コメント] 愛人(1953/日)

森本薫の当たり芝居が原作で、期待したのだが平凡な出来。演出が冴えないのだろうか。有馬稲子がとても可愛いのだが他の作品でも可愛いし、他に取柄もないなあという感想。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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結婚喜劇の玉突き合戦。父の菅井越路が先に結婚してしまって、越路の娘の岡田に懸想した菅井の長兄の尾棹一浩がふてくされてサンドイッチ喰いまくる、という掴み。親が子供の結婚考える古典的な話で、若い者は性に狂っているから早く結婚させねばならない、という動機に芳しいものがある。室内の額に「色」と大書されているのが主題を提示する。居候の三國は越路も岡田も有馬も愛しているとそれぞれ別々の者に語り、それが発覚して全員がストップモーションになるというクライマックス。パワーはあるが、ギャグが大して可笑しくないので、シュールな印象だけが残る。

長兄の「憂鬱だ。共産党になってやろうか」有馬「馬鹿ねえ」という科白がある。当時の共産党は五全協の暴力路線。市川崑は早口連発の演出はまだ練習中。床抜けるボロ屋のギャグも緩慢でイマイチ笑いが取れていない。菅井と有馬がテニスしているが、皇太子御成婚との関連か。ラストに新しいお手伝いが来て、雨降って洗濯物片づけて、片隅のヒマワリを大写し、というラストは大して意味がないが妙に印象に残るものだった。石田美津子という新人女優の顔見世だったか。三國が泳ぐ石ころだらけの川は撮影所の傍の設定からして多摩川だろうか。

(評価:★3)

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