[コメント] 沖縄やくざ戦争(1976/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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冒頭字幕「沖縄で起きた暴力抗争事件を素材にしているが、あくまでも創作」。本土復帰翌年のコザ市の夜、東京名物のんべえ天国なる居酒屋に、ヤマトの奴等だけば我慢ならねえ、俺たちゃ復帰した覚えはねえと千葉ちゃん殴り込み。我慢ならないのは本土系暴力組織がやって来るからで、沖縄防衛のため沖縄連合龍星会が結成されるが、大同団結したはずの千葉ちゃんの組(200人)と松方弘樹の組(30人)はギクシャク。千葉ちゃんの部下の冷淡キャラ地井武男が松方の部下殺したらしく松方の舎弟はいきり立つが松方は千葉ちゃんに任せようと語る。
松方の組のシノギは氷屋さん。室田日出男や尾藤イサオに渡瀬恒彦が加わる。三人とも久米島出身で、彼等の被差別意識も背景に盛られている。縄張り荒らしたと室田は千葉ちゃんからチンチンをペンチで切られる(サクサク音がする)私刑。松方は千葉ちゃんに詫びを入れると、千葉ちゃんは松方にその縄張りを与えろと指示し、拒否する地井を破門するぞと怒ったりする。
織本順吉や建設会社の成田三樹夫は海洋博(!)での儲けの皮算用。本土のやくざ曽根将之がカラオケで演歌唄うと、千葉ちゃんは上半身裸になり三線バックに空手の型始め、相手を逗留ホテル前で曽根を何度も轢くもの凄い情念のショット(首だけ地面から出しているんだろう)が続く。諫める幹部に戦争上等と食いつく千葉ちゃん。松方は成田と詫び入れに大阪の梅宮辰夫の処へ行くが、梅宮は成田に金突っ返して千葉ちゃんの首持って来たら支部長の椅子と取引。
戻った松方は千葉ちゃんにヤマトと取引したな、島から出てゆけと激怒。室田は尾藤や渡瀬にピストル渡して千葉ちゃん射殺しろと指示、松方は黙認。室田は松方と取引。ということで話は煮詰まる。
クラブで沖縄語による捕虜収容所の歌(PWの歌)唄う千葉ちゃんを渡瀬が射殺。地井は松方へ報復。松方一味は身を隠し、「タッ殺せぇタッ殺せぇ」と成田が怨念に凝り固まる表出も凄い。渡瀬は自首するが拳銃の差し入れで留置所から逃走して合流。やたら別嬪な松方の妻の新藤恵美はトルコで前借して拳銃代。渡瀬が売春婦の部屋から硝子戸体当たりして逃走とか、三上寛が墓穴掘らされて松方の居場所喋ったら射殺とか、ろくでもない描写連発。
松方は梅宮に土下座して取引して拳銃代を貰い、なんと米軍から山ほど武器調達。迷彩服着てジープ乗り回し地井の事務所に手榴弾投げ込み、乱射に次ぐ乱射の殆ど戦争状態。地井の自宅に乱入して射殺。室田が地井の妻と相撃ちになるショットが素晴らしい。ここまで派手なヤクザ映画は珍しくほとんど戦争映画だ。
双方の組は壊滅状態。成田は織本を会長に祭り上げ、暴力団と縁切り。アロハ着て犬の散歩する織本は尾藤に殺され、尾藤も護衛に蜂の巣。理事長断られた松方はボート遊び中の梅宮と成田を渡瀬運転のボートで撃ちまくり、最後は松方と梅宮だけ生き残ったようだが定かでない混乱のうちに終わる。この結構整理しない作劇の引き揚げ方も余韻があった。映画は実録の由。ナレーターは関西人には懐かしい諸口あきら。
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