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[コメント] 野獣刑事(1982/日)

闇と光。そこに浮かび上がるロングコートの男。本作と同年公開のブレードランナーとのシンクロニシティ。しかし、分が悪い。映画を新しいフェーズに進めた彼の作品をスタイリッシュに走り抜けたハリソン・フォードと比べて、この緒方拳のすわりの悪さ。コレはどこから来るのか?
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イビツな展開。石田あゆみとの顛末に決着がついた後のイズミヤの爆走カーチェイス。 この話、どこに行くんだろう?と思っているところにラストの万引き少年。親を亡くした少年はこの後一人で生きて行く。手本も寄る辺もなく。そして、裕也さんのローリング・オン・ザ・ロード。開き直った告白にも似た”I am a happy man. I Make a choice in my life.”(個人的には内田裕也一世一代の名演と思う)

ここで、最初の緒方のすわりの悪さが腑に落ちる。

それは、緒方演じる刑事、いしだ演じる夜の女、イズミヤ演じる麻薬中毒。彼らもまた、少年と同じく、皆、父なき世代ではなかったか?五里霧中の戦後の急激な変化の中を、己の浅薄な判断で生きて来た結果、社会から逸脱せざるを得なかった者達ではなかったか?という事。

であるにも拘らず、緒方は”父”その物。寧ろ、3人を排除する社会の象徴に立つ者と云う解釈で描かれていると思う。 この齟齬が作品を迷子にした。と思う。

あー。追記です 点数的には3なのですが、裕也さんの名演に免じて+1で

(評価:★4)

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