コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] 点と線(1958/日)

短尺で纏め切れず散漫な出来。三島雅夫山形勲増田順二という素敵なタッグも、見事な高峰三枝子も、木下忠司の箆棒に格好いい劇伴もみな無駄使いに終わった。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







鎌倉に結核の妻高峰三枝子が療養中、亭主の山形勲は週一で妻の処へ行く。という設定は当時多かったのだろう。キノシタ『婚約指環』(50)もそんな設定だった。鎌倉の気温は東京より三度高いと高峰は云う。彼女の結核は治らないと主治医の明石潮は云っている。結核は戦後でも進行すれば治せなかったと勉強になる。妻の資格のない女だから他の女を許したのに、という終盤語られる動機は家制度を引きずった当時らしい。

時々、シークエンスの終わりの動作と、次のアタマの動作を重ね合わせるという格好いい試みがなされる。最後の高峰・山形の心中は冒頭のそれと、仰向けと腹ばいとで対照したということだろうか。意欲的な演出が見受けられるのだが、何せ短尺なのでここが見処と提示できず描き飛ばされた残念な印象ばかり残る。

南廣の下手糞なデヴュー作。「そうだ飛行機だ」ってのはしかし、北海道まで行かなくても机上で判れよという気がする。定期旅客の運行開始は1951年、原作の連載は1957年である。警視庁で南と志村はウィスキー呑んでいる。ラフな時代。近頃は自分の懐で呑み食いする人は珍しか、と隣の宴席の社交族について中居が語り、ここから南廣と加藤嘉は、接待だのリベートだの裏取引だので儲ける連中への愚痴を云い合う件があった。この人情刑事加藤など、通り一遍の造形でいかにも深みがない。

(評価:★2)

投票

このコメントを気に入った人達 (0 人)投票はまだありません

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。