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[コメント] レイジング・ブル(1980/米)

なんという哀しい人間。
緑雨

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







愛する妻も、血を分けた弟さえも信じることができず、思い通りにならなければ当り散らすことしかできない。闘争心と猜疑心の固まり。だけど彼だって、こんな人間になりたくてなったわけではない。自分だけを信じ、周りは全て敵だと思って牙をむく。この世に生を受けてからこの方、そうするしか生きる術はなかったんだろう。直截的には描かれていないが容易に想像がつく。晩年醜く太った体で、独房の壁を拳で殴り頭を打ち付ける姿の哀れさ。

それはわかる。そして、ここまでその悲哀を画面に定着させたことも評価できると思う。だけど、やっぱり彼みたいな人物は好きになれない。彼が好きになれないので、この映画も好きになれない。そんな自分の器量の小ささを思い知らされ、なんとなくヘコむ。そんなこんなで、気分の良くない映画。

(評価:★3)

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