見たい見たいとずっと思ってきたが、ここにきてやっと出会えたチャップリン＆アーバックルの奇跡的傑作と呼びたい共演作である。何よりもパッケージセンスとリズム、諧謔とヴィジュアル感覚が類まれな融合をものにして、画面が瑞々しく輝いており、監督も兼ねているというより主演を兼ねているといったほうが分に合っているチャップリンのディレクターズチョイスが冴えわたる力強い名作である。チャップリンとアーバックルが並ぶバランスをマーケット視点で表現することのできるチャップリンのセンスは素晴らしいし、アーバックルの堂々と気負いのない存在感はさすがの一物である。そしてこの両者の偉大な才能がマック・セネットの元で束ねられるという安定感が、昨今の浮ついたブロックバスタームービーとは比較にもならなくらいの懐の深いビジネスセンスは脱帽である。明らかに十年に一本出るか出ないかといえる傑作。もっともっと評価されて然るべき時代が生んだ稀なる豊作である。