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[コメント] 笑いガス(1914/米)

作品の設定や狙いから大きく逸脱することを修正しようとはしないアバウトさが当時の制作環境を伺え、作品作りの粗さが際立つBADサイレント
junojuna

 タイトル“笑いガス”とは、アメリカの歯科療法では普通に使われる亜酸化窒素、いわば痛みのない麻酔であるが、歯科コントでこうした素材を扱う所にチャップリンのセンスが伺えながら、いかんせんそこに集約的なストーリーを組み立てることが結果成功しなかった惰性の作品のように思えるなんとも粗い出来上がりである。小柄なチャップリンが大男に見えるといった小男の配役や、定番のレンガ投げなど、笑いのアクションはむしろそうした定石を扱うことで獲得していることに当時の早撮り至上主義な製作環境の限界を思い当たる。ただし、反抗的で何にでも咬みつき、また女好きでヴァイオレンスというアナーキーなキャラクターは本作において一層強烈であり、そうした突き抜けたパフォーマンスが笑いにつながっている点で、チャップリンの勢いを感じさせる作品である。

(評価:★2)

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