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[コメント] 命(2002/日)

彼女の場合、生き方そのものが小説の世界に入ってしまっている。だけど、せめて自己憐憫は文章だけにしてくれ。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 原作者の柳美里は“人生を切り売りする文学者”と言うことが言われることがある。この映画でも冒頭に裁判の話が出ていたが、これは自分のことを書かれた友人から、名誉毀損で訴えられていたから。文学の形式として、自分のことを描く私小説というジャンルがちゃんとあるのだが、彼女の本は私小説を超え、半ば実録とも言えるもの凄い作品となっているのが特徴。

 その小説を映像にしたものだから、もはやこれはプライベート・フィルムと言ってしまっても良いような出来で、それを延々観させられる身としては、ちょっといい加減にしてほしい。と言うのが本音。観終わるまでにかなり消耗した感じ。

 映画単体としてこれを見るならば、テレビドラマの拡大版以上のものではない。いかにも感動させようと言う制作者の意図がはっきりしている上にわざとらしい演出を行うものだから、感情移入できない私としては白けきっていたし、何よりあのカメラ・ワークは酷すぎ。退屈な作品だからこそ、カメラ・アングル及びカメラ・ワークは凝らないといけないのに、全然その事を考えていないのは致命的。画面のほとんどが横からの、固定カメラで、時々ズームをする程度。たまに動きがあると思ったら、無意味な場所で無意味なカット・バックを使う。これを“映画”と言うのさえおこがましく思える。

 唯一救いがあったのは、赤ちゃんが可愛かったことくらいか?

(評価:★1)

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