[コメント] 腰抜け巌流島(1952/日)
全体的にチープな作りでラストの巌流島のシーン以外は殆どスタジオセットで撮影されている。しかし、チープな美術装置ゆえに余計に演技・演出のバイタリティが際立って見える。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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森繁久弥の武蔵は相変わらずキビキビとよく動く。一乗寺決闘のシーンでは井戸に落ちた武蔵が池までモグラのように土の中を進んだりする。横山エンタツの沢庵和尚も飄々として面白い。しかし出色は三條美紀が演じるお通のじゃじゃ馬ぶりと大泉滉の頼りない佐々木小次郎だ。三條美紀は気の強い役がよく似合う。小次郎が、登場シーンから度々「刀の鞘」を川や池へ落とす演出は巌流島での有名な件への伏線になっているのだが、このあたりも周到に準備されている。また、丹下キヨ子の吉野太夫も秀逸なダンスを披露し笑わせる。このシーンもそうだがまるで時代劇に相応しくない音楽の使い方もこの映画の見所で、吉岡道場の門前でベートーベンの「運命」が鳴ったりする。最も驚かされたのはラストの小次郎絶命シーンで「アロハ・オエ」が流れる部分。森一生もこんなことをやっていたのですね。
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