●まず、犯人ソンジの計画がわからない。今回の計画のために学校に入り込むんだから、かなり念入りだったに違いない。でも、まず「ソンジ」は本名だったの？仮にも議員や大統領（大使だったか）の子供が通う学校に、怪しい身分の男が採用されるのも変だし、毎日ルパン３世並みの変装マスクつけているのも大変だし（費用もかさむはず）、資格だって要るだろうし、毎日の授業で教えてるわけだし。だから、ほんとの「ソンジ先生」はほかにいて、そいつを殺して、あの日だけ犯人が変装して入れ替わったんなら納得いくんだけど、そんなこともなかったようだし。もし、入れ替わったんなら、「悪いやつ」がソンジに目をつけて、上前をはねるようなことも無いんだろうけど。

●目的も判らない。最終目的はミーガン少女じゃなく、ディミトリーの誘拐だったのか。ミーガンは、彼をおびき出す「エサ」だったわけか？とすると、ロシアの大統領（大使？）の息子を誘拐するのなら、何か国際的な、政治的な目的があったのだろうか。

●でも、犯人の意図もわからない。クロス博士いわく、「存在を認めてもらいたい模倣犯（コピーキャット）」だと。なんだって？。で、わざわざ認めてもらいに、博士に会いにきてるし。

●上前はねた悪いやつも、途中からバレバレだし。でも、「こいつ」が一緒に捜査に加わるのも、もとはクロス博士が「一緒に捜査を」って言ったからなので、ほんとなら、自宅謹慎か、左遷されて、いっしょにいるはず無いのに。としたら、ディミトリーは易々と誘拐され、あわれミーガンは殺されただろうか？身代金どころじゃないだろうに。そもそも上前はねるために、ずっとマークしてきたなら、こいつらも変。「二重誘拐」成立するためには、偶発的な要素が多すぎる。

●おもしろかったのは、リンドバーグ事件のハウプトマンのくだり。まず、授業でリンドバーグが出てくるところから、知ってる人は「来た来た」と思うだろう。この事件に関しては、ディアゴスティーニ社の「マーダー・ケース・ブック」でたっぷり勉強した。それは、英雄リンドバーグの愛娘（幼児）が誘拐され、身代金が奪われ、娘も死体で発見され、犯人としてハウプトマンが逮捕され、処刑されたが、彼は無罪で、真相は事故か、リンドバーグの姉（妻の姉？）が錯乱して殺してしまった疑いが強い･･･というものだった。ぼくはこれ読んで、本当の真実？を隠して無実と思われる男を死刑にしてしまったリンドバーグ一家と、当時の裁判に対して怒りを覚え、同時にハウプトマンに対して涙を流しました。